結論から言います。必要です。ただし、使い方を間違えている人がほとんどだと思っています。
サウナ室の中でチラチラ時計を見る、という話ではありません。スマートウォッチが本当に活きるのは外気浴のときです。あのふわっとした感覚を数値で記録して、次回以降に再現できるようにする。それだけのために使います。データがなければ、なぜ今日ととのったのか、何分がベストだったのかは永遠にわからないままです。
「ととのい」って、要するに何が起きているのか
作業療法士という仕事柄、身体の反応を数値で見る機会が多いのですが、「ととのい」はただの気持ちよさではありません。自律神経の切り替えが体の中で起きている、れっきとした生理現象です。以前、精神科病院の患者さんにテントサウナを提供したことがあって、そのとき表情や動作、会話の変化を間近で見ていました。サウナ後に明らかに表情が柔らかくなる、声のトーンが変わる。数値では見えない部分も含めて、「ととのい」が体に与える影響は本物だと確信しています。
サウナ室で心拍数が上がり、交感神経が優位になる。水風呂でドンと落ちて、神経の切り替えが起こる。外気浴に移ると副交感神経が優位になって、あの独特の浮遊感が来る。この流れを体感として知っているサウナーは多いと思いますが、実際に数値で見るとかなり面白い。
目安としては、入室前が60〜70 bpm、サウナ後が100〜130 bpm、外気浴後が50〜60 bpmくらいです。この「落差の深さ」がととのいの鍵で、重要なのは数字そのものより自分のベスト値を把握することです。
今回の検証場所:グランピング&テルマー湯 東松山滑川店
実際に3セット計測した場所を先に紹介しておきます。
埼玉県比企郡滑川町にある「グランピング&テルマー湯 東松山滑川店」は、日帰り温浴とグランピング宿泊を組み合わせた複合施設です。関越道の東松山ICから車で約5分というアクセスの良さもあって、群馬方面からも行きやすい。
サウナはフィンランド製の「ikiストーブ」を使用しており、温度は94〜95℃帯。スタッフによる手動ロウリュが曜日ごとのスケジュールで開催されていて、平日は17:00 / 19:00 / 20:00の3回、土曜は15:00〜21:00の間に6回と、仕事帰りでも狙いやすい設定です。訪問時はロウリュの香りが時間帯で変わっていて、19:00はペパーミント、20:00はレモングラス&ジンジャーと意外と凝っていました。スケジュールや香りは時期によって変わる場合があるので、公式サイトで事前確認を推奨します。
水風呂は地下1,700mから湧き出る天然温泉の源泉水を使用しており、埼玉県初の天然温泉水風呂です。泉質は塩化物泉で、水温は16℃前後。実際に入ってみると舐めると塩気のある温泉特有の味がして、普通の水とは明らかに違う肌当たりがあります。「なんか違うな」と感じた感覚には、ちゃんと理由がありました。
外気浴スペースは露天エリアに出るタイプで、空が広く開放的です。インフィニティチェアやガーデンベッドも複数あって、外気浴難民になりにくいのが個人的にポイント高い。この環境があったからこそ、3セット目で自分のベスト値が出たのだと思っています。
施設情報(参考)
所在地:埼玉県比企郡滑川町羽尾2178
アクセス:関越道「東松山IC」より約5分 / 東武東上線「森林公園駅」北口から徒歩約20分
営業時間:10:00〜22:00(変更の場合あり、公式サイトでご確認を)
実際に計測してみた:3セットの記録
百聞は一見にしかずなので、自分で検証しました。
1セット目は 68→118→62 bpm。落差はあるものの、体がまだ慣れていない段階で、ふわっと感は薄め。2セット目は 62→122→57 bpm。体温が上がりきったのか、水風呂後の切り替えがスムーズになってきた感覚がありました。
そして3セット目、57→128→52 bpm。外気浴中のあのふわっと感と、数値の動きが完全に一致していました。これが自分の”ととのい値”です。
ただ、「52bpmが正解」という話ではありません。これはあくまで私の値です。大事なのは自分のベストがどこにあるかを知ること。それがわかると、意図的に再現できるようになります。ここが、データを取る本当の意味だと思っています。
サウナでスマートウォッチを使う、正しい3ステップ
スマートウォッチの使いどころは3段階で考えると整理しやすいです。
ステップ1:サウナ室はタオルを巻いて装着
タオルを時計に巻くことで、サウナ室の直射熱が直接本体に当たるのを防げます。結果として時計本体の温度上昇が抑えられ、計測できる状態を保てます。巻き方は、センサー部分(手首側)は肌に密着させたまま、文字盤側をタオルで覆うイメージです。
ステップ2:水風呂はそのままでOK
5ATM防水であれば水風呂はそのまま入れます。むしろ水風呂直後の心拍の落ち方も記録できるので、外しません。
ステップ3:外気浴がデータ取得のメイン
ととのいの数値が出るのはここです。外気浴中の心拍の変化をしっかり記録することが、スマートウォッチを使う本来の目的です。
一点だけ補足しておくと、サウナ室での使用はメーカーが推奨している環境ではないため、万が一破損した場合は保証対象外になります。タオルの巻き方や施設の温度帯によって結果は変わるので、その点は念頭に置いておいてください。
「じゃあ実際に何を買えばいいの?」という話をします
選び方はシンプルで、防水5ATM以上、リアルタイム心拍計測、バッテリー14日以上。この3点だけ見れば十分です。高機能・高価格な機種は正直、サウナとの相性が悪い場合があります。
迷ったらHUAWEI Band 8(約7,000円)を選んでください。重さ14g、バッテリー14日、心拍精度も問題なし。初心者から中級者まで、これで外れません。
コストを抑えたいならXiaomi Smart Band 9(約5,000円)も選択肢です。バッテリーは21日と優秀ですが、精度・安定性はHUAWEIにやや劣る印象があります。
避けるべきは激安バンドとApple Watchの2択です。激安は心拍がブレて使い物にならないことが多く、Apple Watchはバッテリーが1〜2日で切れるのでデータが続きません。どちらも「データを取る」という目的には向いていない。
まとめ:ととのいを「再現できる」ようになると、サウナが変わる
サウナは感覚だけで十分楽しめます。スマートウォッチがなくても、ととのうことはできます。
ただ、「なぜ今日はととのったのか」「次も同じ感覚を出せるか」まで考えはじめたとき、データの有無は大きな差になります。感覚を言語化して再現性を高める、という発想はOTの仕事でも普段からやっていることです。サウナでも同じことができると気づいてから、セッションの質が変わりました。
まずは外気浴中の心拍数を1回計ってみるだけでいいです。そこから始めてみてください。
